feather earrings

久々の更新です。
色々と載せるべき商品はあったと思うので、折りをみて紹介させて頂きます。

今回の仕入れで割合良いクイルが入って来たので、大分前にオーダーを頂いていたフェザー・ピアスを制作しました。
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この商品はクイルの在庫が不安定で、良い針があるとクイル細工に使ってしまうので、確かカタログ等には載せていなかったと思います。
一応在庫にマッチングする良い針がある時には制作出来ますので、欲しい方はお問い合わせ下さい。
なお、そういった事情なので大量の制作は無理です。
価格は3000円です。


「クイル」について簡単に説明しておきます。
クイルとはヤマアラシの針毛や鳥の羽根の軸部分を意味しますが、この場合はヤマアラシの針毛を意味します。
ヨーロッパから交易でビーズが入るまでは、このヤマアラシの針毛を染色したものを織り込んだり縫い付けたりしてカラーの意匠を制作していました。有史以前からの細工で、いつ頃から始まった等、謎の多い細工の様です。
僕の師匠、故クリスティーン・レッドクラウドさんは、レッドクラウド家に嫁ぐ以前、代々クイル細工で有名な家の出で、嫁いでからはレッドクラウド家のファミリー・ビジネスにしてしまう程、盛んにしました。

僕も居留地に行った時にはクイルの洗いや選別等の処理を手伝ったり、実は制作もしていました。
そうして制作された僕の作品は、レッドクラウド家のクイルとして青空直売所やトレーディング・ポスト、居留地外の店に販売されました。
故人はいたずら好きだったので、ファミリーの誰かが日本に売る、という話があったら、「ミスター・オカイの混ぜといて」と言ってたそうなので、きっと誰か、僕が作ったクイル細工をお持ちだと思います。


話は脱線しましたが、クイル細工をやろうと思えば、当然ヤマアラシを殺さなければなりません。
ヤマアラシはとてもシャイな動物で、滅多に人前には現れませんが、夜になると意外な程動き回るので、よく経験の浅い犬がちょっかいを出します。ところが彼らの針毛は、字の通り、毛が膨らんで針になったものなので、我々の髪の毛の様に一定方向にはよくすべるのですが、反対方向には滑らなく、刺さる時はスルっと深くまで刺さるのに、抜くのはペンチが必要なぐらいで容易ではありません。喉の奥に針が刺さって、食事をとれなくなって死んでしまうか、上手く助かったものはもう二度とヤマアラシを襲おうとは考えなくなります。
襲いはしないものの、ヤマアラシを見つけると激しく吠え立てるので、そうなるとライフルを持って駆けつけます。大抵は木の上に逃れているので、それを撃ち落とします。
非常に可愛らしい生きものなので、それは結構ショッキングな光景です。

ヤマアラシはまだまだ生息数は多いとは思うのですが、動物のパーツということで、年々輸入が厳しくなって来ています。特別な証明をもらうのに5千円〜1万円かかるので、割に合いません。
そういった、割に合わないという事情の上に、師匠に敬意を払って、クイルを僕がやることは無く、針を輸入する事もありませんでした。

ところが、ちょっとした事情で、クイル細工の作品を一つ作る事になったので、今回のオーダーの際、全部の店に「クイル入る?」と聞いて回っていました。案の定、一件だけ出してくれる事になって、久々に入手出来ました。
殺し方は先程書いた様な感じだと思います。居留地内で獲れたヤマアラシで、バイト代として獲った人が売りに来たものです。

一頭分の針を買っても、使える物は少なく、ましてやイアリングの芯としてマッチングするものはあまり無いです。
ただ、細工自体は非常に簡単なので、このイーグル・フェザーを模したイアリングは居留地のみならず、白人の工芸好きなどが沢山コピーしています。多分ニュー・メキシコ界隈などでは一つ100円程度で、人件費の安い国で作った物が売られているのではないでしょうか。

そういった事もあり、あまりこのピアスは大々的には作っていないのですが、配偶者が着けていたり、工房に飾ってある(「棚に放置している」の方が正しい)のを見て、「欲しい」と言われた際に上記の様な事情を断った上で制作しています。


本来のクイル細工は、このような簡単なものではありません。
一つだけ、そう難しい事も無い小品ですが、とてつもなく上手い子の作品をお目にかけましょう。
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髪飾りのオーナメントです。一本一本が短いクイルの針を、ローハイドの芯に巻き付けています。一本の針で3周ぐらいしか出来ません。裏を見ると、針の継ぎ目がよく分かります。

余談ですが、居留地近くの町のラピッド・シティーには、プレーリーエッジ(スー・トレーディングポスト)という有名なラコタ細工やパーツの店があって師匠もそこに卸していたのですが、「あそこ、クイルを裏向きで写真撮ってるのよ・・・心の無い店よ」と嘆いていました。
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これがその写真です。裏向きなので継ぎ目がよく分かります。

写真の彼女の作品は細い針を使い、非常に丁寧に編み上げています。僕の師匠は逆に太い針を使って適当にズボラに作っている(ただし、経験に裏打ちされたもの)のが特徴なので、作品から受けるイメージは正反対です。師匠のを屋台のツボ焼きとすると、彼女のはフランス料理のムニエル。
しかし僕は師匠の作品の持つオーラというか、「荒い=温かみ」というのとは違った次元の深さが好きで、彼女の作品よりは師匠の作品を目指しています。

左のが師匠の作ったメディスン・ホイールです。
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by oglala | 2009-07-14 18:48
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