Bear claw necklace発売のお知らせ

ツキノワグマの爪のネックレス。ついに販売します。数は2つ。badger claw necklaceと同じ細工を施します。色目は着用者の希望を叶えるオーダーメイド。希望色を聞いて制作します。価格は15000円です。御希望の方はこちらまでご連絡をお願いします。

バジャーの爪との大きさ比較。
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左が未処理のカナダ・ユーコン産の大型バジャーで、右が処理済みのツキノワグマの爪。
処理後はだいたい同じ長さになります。
badger claw necklaceに使用しているアナグマは、穴を掘って生活しており特別ツメの長い動物で、さらにカナダの一番大きなクラスの個体のものなので、驚く事に日本のツキノワグマと大きさが変わりません。日本のアナグマの倍ぐらいの大きさです。
一方、ツキノワグマは木登りをするのに、その体重をささえないといけないので、厚みのあるしっかりしたツメです。



「商品に使って」と、ツキノワグマの爪を3つほど頂いたのは、僕が鉄砲撃ちになる前なので、4年以上前だったと思います。
下さったのは、ブログ「工房雑記」にも度々出て来る、猟関係の師匠の阿部達也さん。
群馬県利根郡のみなかみ温泉の高級料理旅館「尚文」の板長です。

彼との出会いは、もう6〜7年前。SNSのミクシーでした。当時僕は、ラコタでよくモチーフとして使用される熊について勉強していました。
5本指の足跡模様と4本指の足跡模様のものがあったり、それ以外にも、熊の習性が分からないと何か一つ模様を作るのにも難しかったのです。

例えば、熊の「foot print」ではなく「track」。これらは日本語では共に「足跡」と言われますが、前者は「一つの足によってつけられた跡」であり、後者は「長く続いた一連の足跡」のことをいいます(「アニマルトラック&バードトラック ハンドブック」今泉忠明・自由国民社より)。

二本足の我々の考えでは、foot trackというのはまさに人の足跡の様な互い違いのものなのですが、4本足の彼らの場合、4つの足の運び方によって、非常に規則的だったり、不規則的だったり、また前脚の跡を後ろ脚が綺麗になぞっていたりと、動物の習性によって様々です。また骨格の形によって、trackがほぼ一直線だったり、右と左の幅が広かったりします。

どうです?一つの模様を作るのに、その動物の習性まで知る必要があるのか?とよく聞かれますが、それを知らないと例えば「Bear track」という柄ひとつ満足に作ることができないこと、理解して頂けましたか?

それ以外にも、先程上の方で書いた、5本指の足跡模様と4本指の足跡模様がある話。これは前述の書籍にも触れられておりますが、クロクマ類は前脚の第一指をハッキリと地面に付けない事が多いのです。ツキノワグマもそうなのですが、アメリカクロクマは特にその傾向が強いそうです。
つまり、グリズリーが多く生息しているエリアの部族が作ったfoot printは5本指。アメリカクロクマが多く生息していたエリアの部族が作ったfoot printは4本指だったのではないか、という仮説を立てることが出来ます。

更に基本的に言うと、それらの模様はbear paw(熊の手のひら)模様ではなく、bear foot print(熊の足跡)模様だったのではないか、との仮説を立てることも出来ました。

僕はそれらの仮説通りに自分が使うべき模様を制作しています。
また、それら仮説から、各部族に伝わる熊に因んだタブーや慣習の存在を見出す事も出来ました。


話が本筋から外れましたが、熊についての勉強をしてゆく中で、ミクシーの熊に関するコミュニティーで、若い師匠が(年齢的には師匠は僕より10ほど下なのです)大きな熊を手にニッコリ笑っている写真を見ました。
縁というのは面白いものですね。何かピンとくるものがあったのでしょう。「よい写真を見せて頂き、有難うございました」と送った一通のメールが(僕は大概、よい本などに出会えた時には、その作者に御礼のファンレターを書きます)、その直後に師匠からの生皮の提供で鞣しに繋がり、更には考えもしなかった、自分自身が鉄砲撃ちになる事に繋がったのです。

師匠からしても、色々な方から来るメールの中でも、僕から来たメールに何か感じるものがあったらしく、最初から本気で接して下さり、命がけで獲った熊の生皮を下さったり、色々な示唆を下さいました。
特に、初めて見た猟が師匠の猟だったことは、僕にとっては本当に幸運でした。それは甘えの一切無い、5感の隅々まで研ぎすまされた真剣勝負で、やるかやられるかの世界でした。

彼はまた、レジャーとは違い、納得のゆく食材を求めて山菜をとり猟をし、その恵みに感謝を忘れません。真摯で常に研究を怠らない姿勢で、フランスの3つ星レストランのシェフが研修させて欲しいとわざわざ来られる程の腕前。鉄砲を撃たせれば、何年も連続での群馬チャンピオンの経歴を持ちます。
フキをとるとなると、より良いものを求めて、誰も上がらない高地まで脚を運び、熊と取り合いをしてまで良いものを収穫してきます。


そんな彼からは有形無形問わず、沢山を頂いたのですが、その中にあって、今回アクセサリーとして使う事になった熊の爪は、ちょっと困ったものの一つでした。

ツキノワグマは、以前と比べるとだいぶ数が増えてきたとはいえ、まだ狩猟禁止にして保護している地域の方が多い動物。もらいものとはいえ、あまりに安く出すのも気が引けます。かといって正当な制作の対価以上のプレミアをつけて、それを僕が着服するのはもっと気が引けます。
そしてもっと根本的に、これは恩人とも言って良い師匠が命がけで獲った熊の爪。

自分の苦労はどれだけでも安売り出来ますが、尊敬している人の苦労を安売りする事は非常に難しく、かといって理由の無いプレミアをつける事も僕には出来なかった。
よってこの爪は長い間、保存液の中で、日の目を見ることはありませんでした。


それを今回使うことになったのは、実は今月末にその師匠の結婚パーティーが水上であるからです。
そうだ、熊に水上に連れて行ってもらおう。お金が無い訳では無く、熊で出会った我々。安売りすることも、理由の無いプレミアでも無い。

そこで、その師匠から頂いた3つのツキノワグマの爪をネックレスにすることにしました。
基本的には先頃の再販でも人気だったbadger claw necklaceと同じ細工を施します。ただ、ビーズの色目はオーダー下さった一人一人の方の御希望をうかがい、特注とします。

3つのうちの一つは、先行で案内させて頂いたミクシーで一つ予約が入っておりますので、残り2つです。
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by oglala | 2012-03-19 19:23
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